けいけん豊富な毎日

思い出の名馬(グラスワンダーpart1)  担【temporalis】

週末の毎日王冠が迫ってきていますが、過去、最も印象に残っている
毎日王冠と言えば・・・やはり98年。

サイレンススズカ、エルコンドルパサー、グラスワンダー
歴史に、そして記憶に残る名馬たちが揃った素晴らしいレースでした。
(結末も衝撃的でした^^;)
今年の毎日王冠を前に、temporalisさんが「思い出の名馬たち」として
グラスワンダーについて語ってくれました。
熱烈なグラスファンであるtemporalisさんの名調子とともに
名馬の時代を振り返ってみたいと思います。

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第1章『栗毛の怪物』

その日、私には大変楽しみにしていたレースがありました。
アイネスフウジン初年度産駒のエレガントモア号が出走するアイビーS
(OP 芝1400m)です。
新馬からの2戦こそ2、3着に敗れましたが、続く3戦目の未勝利戦(芝1600m)で
2着に3馬身差の快勝、勢いに乗ってここも突破!と意気込んでいたというわけです。
しかし、競馬専門誌をチェックすると1頭の馬にグリグリの◎がズラリと並んでいます。

『グラスワンダー?何だ外車か。高々新馬一つ勝っただけで持ち上げ過ぎじゃわい。
 どうせ、早熟の尻すぼみに決まっとる。恐れるに足りんわい。』

私は自分に言い聞かせると、9頭中6番人気にもかかわらずエレガントモアの
勝利を信じてテレビの前に座りました。
エレガントモアのスタートはもう一つ、中団よりやや後ろ目のポジションで
レースを進めます。
一つ目のコーナーを6番手、最終コーナーを5番手で回りいざ直線へ。
前を行く馬で強そうなのは札幌3歳S4着のマチカネサンシロー、
新馬で対戦し、悔しくもクビだけ負けた牝馬ダンツナイキあたりか。
必死で追いかけるエレガントモアですがジリ脚でなかなか前との差が詰まりません。

「くそおお、勝てんかあ。」と力む私。

その時です、内で死闘を繰り広げる馬群の外を何かがスーッと通り過ぎました。

『!!!・・・ 何じゃ今のは?

それは何と表現したらいいのでしょう、まるで現代のCGでも使ったような
異次元の走りでした。
着差は5馬身でしたが、それだけではとても言い表せない何か。
鼻唄でも歌いながら通過していったようなその姿には、同じサラブレッドとは思えない
圧倒的な力の差を感じずにはおれませんでした。
エレガントモアは結局4着に敗れましたが、その悔しさをもどこかにやってしまうような
恐るべきパフォーマンスを演じて見せた馬こそグラスワンダー。
私は一瞬にして心を奪われてしまったのです。


あまりの強さに次走京王杯3歳S(GⅡ 芝1400m)では単勝1.1倍の
圧倒的な1番人気に推されたグラスワンダーでしたが、
ここでも期待に違わぬ強さを見せます。

デビュー2戦は遅れ気味だったスタートも決まり早々と2番手を追走、
そのまま最終コーナーを回って直線へ。
早くも辺りを見回す余裕の的場騎手、内に切れ込みながら楽々と先頭に立つと
持ったままで離す一方。
ゴールではアイビーSと同じ2着馬マチカネサンシローに今度は6馬身差をつけていました。



そして迎えた伝説の朝日杯3歳S。
ここには新馬→函館3歳Sを圧勝のアグネスワールド、新馬を8馬身差楽勝の後、
京都3歳Sも快勝したフィガロと強敵も揃いましたが、グラスワンダーの単勝は1.3倍
勝つのはこの馬しか考えられないといったムードです。
6枠11番とやや外目からスタートしたグラスワンダー、まずまずのスタートで
中団の外7番手辺りにつけます。

先頭を引っ張るマウントアラタはかなりのハイペース、
1000mのラップが12.0-11.0-11.3-11.1-11.7 で57.1ですから
追いかけるには相当厳しいタイトな流れ。
しかし、そんな流れもグラスワンダー&的場騎手は全く意に介しません。
3角過ぎから仕掛けるとグングンと前との差を詰めて行き、
4角では大外を豪快に捲くります。
驚くべきはそのコーナリング、普通あれだけ外を捲くれば膨らんで
追い込み体勢に入るのが遅れるものですが、芸術的な脚の運びでスピードを落とさず、
一気に前を射程圏内へ。


「さあ、どこまで千切るんだ、グラスワンダー!」


実況の三宅アナウンサーが期待感を煽ります。

ところが、2番手からインの経済コースを通って一足先に抜け出した
マイネルラブの脚色が素晴らしいではありませんか。
それを見た的場騎手は初めてグラスワンダーに右ムチを入れます。
2発ほどもらったでしょうか、それに応えて更に加速するグラスワンダー、
瞬く間にマイネルラブを捉えると一気に抜き去ります。
決してしなやかとは言えませんが、前脚を高く上げ地面をガッシリと捉えて進む
前輪駆動の走法は豪快そのもの、全く他馬を寄せ付けません。
そして抜け出してからは的場騎手も手綱を緩めて余裕のゴールイン!


やっぱり強いグラスワンダー、これが新しい栗毛の怪物です! 

そしてタイムは何と、

いっぷん ・ さんじゅう ・ さんびょう ・ ろぉくう~~~!!!

マルゼンスキーの再来です!



3歳馬史上初の1分33秒台突入に三宅アナの興奮も最高潮、
ここに史上最強の3歳馬(現2歳馬)は誕生したのです。
とにかくこの時点でのグラスワンダーの強さは桁違い、外枠不利と言われる
中山のマイル戦で堂々大外を回っての圧勝劇、しかもこれでソエを痛がっていた
言いますから驚く他ありません。

こうして当然のように最優秀3歳牡馬に輝いたグラスワンダーですが、
実は主戦の的場騎手にはもう1頭 ゛怪物" との呼び声高いお手馬がありました。
その馬とはご存知、エルコンドルパサーです。

エルコンドルパサーは新馬(D1600m)、500万下(D1800m)を
それぞれ7馬身、9馬身差で圧勝、年が明けて芝を試そうと共同通信杯へ駒を進めますが
生憎の降雪のためダート変更となってしまいます。
それでも2馬身差で楽勝して3戦全勝、この頃から的場騎手の《選択》に
注目が集まり始めました。
グラスワンダー、エルコンドルパサーとも外国産馬であり当時はクラシックへの
出走権はありません。当然両馬とも春の最大目標はNHKマイルカップという事になり、
前哨戦のニュージーランドトロフィー4歳S(芝1400m)での対戦は避けられないのです。


ところがニュージーランドT4歳Sを目前にした3月、
グラスワンダーを悲劇が襲いました。右第3中足骨の骨折が判明したのです。

これでグラスワンダーは競走馬として大切な4歳春~夏にかけての時期を
治療に当てる事になってしまい、順風満帆だった競争生活はこれを境に
大きく方向を変えて行くのでした。

※第2章は金曜晩にアップの予定です。

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